AM3:30、けたたましいふたつの目覚まし時計の呼び声に飛び起きる。解禁期間でもないのにこんなに早く起きてどこへ行くかというと、本日は遠山川へ成魚放流のお手伝い
に行くのだ。AM5:00に田島さんを迎えに行って、AM5:30に石垣教授を愛知工業大学にてお乗せする。石垣教授の場合「お載せ」と書いてしまう人も
ままあるが、やはり「お乗せ」と書かなければ失礼だ。定刻通り石垣教授を積載、いや、搭載・・・、いや、お乗せして、まだ暗いグリーンロードを疾駆したの
である。途中、コンビニでコーヒーやらチョコレートなどを買い込む。テンカラも好むが甘いものも好みの石垣教授は、チョコレートに目がないのではと思った
が、「ダイエット中なんです」とのことで口にはされなかった。この時点でチョコレートを食べなくっても、結局は同じであったと後から思うのではあったが。
売木村を越えるころ、ようやく陽が射してきて車窓から見える風景が真っ白なことに気付く。霜が辺り一面を
白く染めているのである。車の外気温計は-5度を指していた。陽光に輝く光景があまりに美しく、車を停めて写真を撮影することに。いや〜、寒い寒い!
売木村の凍てつく風景。朝日が美しい。
くねくねと山道をひた走って、遠山郷は南信濃村のアマゴ養殖場に着いたのがAM8:15過ぎ。皆さ
んすでに集まっていた。遠山谷在来渓魚を守る会の事務局長、草田さんが出迎えてくれ、テンカラの鬼の弟子である無州さんとも久方ぶりの再会を喜び合う。
漁協組合長の挨拶があって、いよいよアマゴの成魚放流実施。我々は天竜川支流の遠山川支流の八重河内川支
流の梶谷川担当となった。支流の支流の支流だと、めちゃくちゃ細い川と思われるかもしれないが、なかなかどうして立派な渓流である。だいたい遠山川の規模
が大きく、これは本流と呼ぶにふさわしい。ま、大本流の天竜川がでかすぎるのである。
ともあれ、軽トラックの荷台に積まれた木枠の水槽にアマゴを満載し、放流場所へと移動。我々も軽トラック
に付いて、要所要所でアマゴをビニール袋に分けてもらい、順次放流していく。まだ朝の冷気が冷たく川原の石も凍っていて、ウエーダーを履いていてもツルツ
ル滑るのがわかる。もちろん水も痛いほどに冷たい。できるだけ緩い流れを選んでアマゴを放流するが、低水温のためか場慣れしていないのか、一ヶ所に寄り集
まってウロウロしている。このアマゴたちは天然の流れ初体験だろうから、どうしていいか分からないのであろう。4月頃、駅でうろたえる学生やサラリーマン
をよく見かけるが、ま、あんな具合だ。(どんな具合だ?)
遠山本流にアマゴを放流する石垣教授。
実際に放流をしてみて分かったが、これは大変な作業である。なるべく広範囲に放流していくわけだが、軽ト
ラックと川とを何度も往復せねばならず、土手や崖を登ったり下りたり極めてシンドイことだ。いきなり早い流れに放てば、水に馴染んでいないアマゴたちはた
だ流されるばかりである。ドドンパッと放ればいいというものではないのである。草田さんはじめ、在来渓魚を守る会や漁協の皆さんのご苦労が少しは理解でき
たように思う。それと自分の手で放したアマゴたちは、より愛着を感じる。解禁までに天然化して、少しは賢くなっていてもらいたい。いきなり全部釣られちゃ
ダメよ、と願ってしまうのである。でもぜんぜん釣れないと漁協に文句をたれる人もいるので、複雑な気持ちだなぁ。ここでは具体的にどこにどれだけ放流した
か、などと書くわけにはいかないので解禁以降のお楽しみということで・・・。
アマゴの魚影が見えますか?
えっと、でもこれは書いてもいいだろう。お楽しみということでは「けっこうな大物も放流してありま す!」 田島さんは尺ほどのアマゴにマジックで「田島」と書いた。(書いてません。たまに本気にする人がいるので念のため)
記名入りアマゴを放す田島さん?
放流後は河川の清掃。しかし、河川を清掃する機会がある度に思うのだが、なんでこんなものが捨ててある?
と思えるゴミが出てくる。ミミズの箱や空き缶、ペットボトル、コンビニ弁当のパックなんかは定番(定番になっては困るけど)だが、今回は自動車エンジンの
部品があった。さすがにこれは釣り客が捨てたとは思わないが・・・。(ところで、釣り客、釣り人、釣り師は微妙に違うと思うのは私だけか)
さて、作業が終わって腹が減ってビールと焼肉である。川原で食べる焼肉は格別である。ご時世なので牛はな
かったけどウマイ、ウマイ。遠山のジンギスは最高っす。ちょうど肉が焼きあがったころ、遅れて無州さんたちも帰ってきた。遠目に肉の焼け具合を見ていたん
だそうな。(見ていません。たまに本気にする人がいるので念のため)
組合長を囲んで。後ろが草田さんです。
で、先ほどの話であるが、「先生、ダイエット中ちゃうの?」と皆が制止するもむなしく、一番たくさん食べ
ていたのは石垣教授であったような。だからチョコレートを少しくらい食べてもよかったのでは、などと私は思うのである。ついでに書けば、帰りにムカゴ饅頭
も食べていらっしゃったように記憶している。
ここで決まり文句。「ダイエットは明日から」