テンカラへの誘い

始めてテンカラをやろうと思う方のために。
さあ、難しいと思わずにテンカラ入門しましょう!

テンカラとは 何?

 テンカラとは日本古来からある毛バリを用い た渓流釣りの釣法のことです。アマゴやヤマメ、イワナといった渓流魚を釣りの対象としています。西洋のフライフィッシングと似ていますが、リールがありま せん。竿と糸と毛バリだけというシンプルな仕掛けです。このシンプルさゆえに、釣り師による技量の差がはっきりと出る釣りです。いわば単純であるがゆえに 奧が深い釣りなのです。
 その他、テンカラがどういう釣りかという詳 細は人間社より刊行の拙著、「テンカラ狂想曲」を読んでいただければ幸いです。


テンカラで使う小物類は、毛バリケース、仕掛け巻き、ハリス、ハサミくらい。
ウエストポーチひとつに収まるほど。
軽快なスタイルで釣りが楽しめる。
キャッチ&リリースするならビクもいらない。
ちょっとキープしたい時でも、小枝をエラに通して持ち歩けばOK。
(写真はテンカラ大王こと石垣尚男教授の夏場の釣り姿です)

テンカラは難しい?

 単純なことと簡単なことは必ずしも一致しま せんが、まずはテンカラは簡単な釣りだと申し上げておきます。とかくテンカラは特殊な釣りで難しいという印象があるようですが、先輩諸氏のたゆまぬ研究の お陰で、我々は比較的やさしくテンカラが楽しめるようになりました。道具に関しても、カーボンロッドやフロロカーボンライン、ナイロンやフロロカーボンのハリスといった現代的なタックルが普及しました。ですから初め てテンカラをやろうとする人も、物怖じする必要はありません。簡単だと言える根拠に、不器用な私自身がその証明材料のようなものです。名人のように釣れる わけではありませんが、自分が満足できるほどには楽しんでいます。もちろん奧が深い釣りですから上手下手という差も出ますし、河川や季節、天候によっても 難しくなったりします。しかし、それはどんな釣法でも同じです。好条件に当たると、テンカラほど簡単な釣りはないと思えるほどです。


正しく練習すれば、初心者だってレベルラインの長仕掛けが振れる!
やはり物事は最初が肝心デス。
できれば、ベテランの指導者にキャスティングやポイントの見方を教えてもらうといいでしょう。
自己流でやるのもいいものですが、変なクセがついたりすることもあります。
(写真はテンカラ1年目のころの虫クンです)

テンカラってお金かかるの?

 他の渓流釣りに比較したら、これほどお金が かからない釣りはありません。毛バリは市販品でもいいのですが、自分で巻いて作れば限りなくタダ同然です。ラインもフロロカーボンのレベルラインにすれ ば、50メートルで1000円くらいです。50メートルもあったら一生使えます。ハリスも安物でかまいません。私は1000メートル400円という特価品 を、友人と小分けして使うこともあります。ただ、あまりに粗悪なハリスは避けたほうがいいでしょう。身なり装束は、一般の渓流釣りと同じもので結構です。 これはファッションの問題ですので、ここに一番お金を使う人もいます。私は見てくれを気にしないので、バーゲン品しか買ったことがありません。唯一、竿だ けが高いといえます。私は980円のグラスファイバーの鯉竿から始めましたが、これはヒドすぎました。どちらかといえば、初めての人ほどいい竿を使うべき だと私は思います。そのほうが変な癖がつきませんし、キャスティングが楽になります。キャスティングの基本を身に付ければ、後々どんな竿でも使えるように なります。ただ、状況によっては竿の性能に一喜一憂することもありますから、悔いが残らない竿を選択してください。身近にテンカラのベテランがいらっしゃ れば、アドバイスを受けると良いでしょう。例えば、本流を主に楽しみたい方には、テンカラ先生こと愛知工業大学の石垣尚男教授が設計された、シマノの「本 流テンカラ ZE」がオススメです。4〜4.5mのズーム仕様なので、短くして使えば本流でなくとも十分に対応できます。



竹竿を自作して楽しまれる方もいらっしゃいます。
凝って作ると市販品よりもコスト高になるかもしれませんが、これも楽しみの ひとつでしょう。
(写真は自製の竹竿を振る郡上の市橋先生)
 
テンカラとC&R
 
 
 さて、日本でもキャッチ&リリース (C&R)をする釣り人が増えてきました。以前はリリースしても死んでしまうという意見をよく耳にしましたが、リリース方法を間違わなければ相当数生存す ることも学術的調査で証明されています。(栃木県水産試験場の土井隆秀氏の記事参照。月刊アクアネット2000年12月号) 

 釣っても食べないようなヤツは釣りをするな という人がいます。遊漁料金を払ってんだからキープして何が悪いという人もいます。もちろん現行の遊漁制度において、キープそのものは悪くありません。し かし、食べきれないほど持ち帰る必要はないと思うのです。遊漁というのはあくまでも遊びです。ビクをいっぱいにしてナンボという価値観でしか遊べないとい うのは、ちょっと時代遅れかもしれません。たしかにアマゴもイワナもおいしい魚ですが、この飽食の時代に渓流魚で動物性タンパク質を摂取しなければならな い理由はないのですから。
 テンカラは、やってみれば分かりますが釣り 味が最大の魅力です。魚篭をいっぱいにしなくとも満足感が得られます。魚を釣るまでのプロセスが楽しく、その結果美しい渓流魚に出会えれば十分嬉 しいのです。そんな馬鹿なとおっしゃる方は、テンカラで良型を数匹釣ってみてください。必ず分かるはずですし、テンカラのトリコになっていることでしょ う。ですから、我々の仲間内ではリリースすることがごく普通になっています。とくに産卵を間近に控えた時期はキープしません。
 リリースするといえばカッコつけてるように 思うかもしれませんが、また釣りたいという欲望の一種かもしれません。リリースした魚が大きくなってまた釣れたら嬉しいし、その子孫がたくさん増えればま た釣って楽しませてもらえると思うのです。まぁ、たまには山の幸を味わいたいということで、5月ごろの一番おいしい時季や、キャンプのオカズ用に少しキー プすることはありますけど。 欧米のように法律的にリリース しなければな らない状況になる前に、良識でリリースする釣り文化が日本に浸透してほしいと思います。


釣友が釣ったら、記念に写真を撮ってあげてはいかがでしょう。
リリースしても、記憶と写真にその魚が残ります。

 

総合案内へ