初心
2016.6.25・記
7年ぶりに訪れた飛騨の名川で出合った幅広アマゴ。
初心忘れるべからずといいます。
物事を始めたころの初々しい気持ちを忘れるな、という意味でよく使われます。
一方で、初心者のころの未熟な状態に戻らぬよう精進せよ、という意味もあるそうです。
テンカラ少年イツキ君を見ていると、初心という言葉が浮かんできます。
6月初旬、飛騨方面にあるイツキ君のお父様方の別荘に一泊させてもらいました。
周囲によい川がいくつもありますので、一緒にテンカラを楽しみました。
彼は今、基本に忠実な釣りをしています。
姿勢を低くしてそっとポイントに近づきます。
竿を振る前に、必ず周囲を見回して障害物の確認をしています。
この初心はとても大切に思います。
初心がどうのこうのと、たかが魚釣りに大仰なと言われる方もみえるでしょう。
でも、初心者の時期に安全に釣りをすることを肝に銘じなければなりません。
渓流を甘く見れば大きな事故につながります。
渓流釣りは危険といつも隣り合わせです。
滑落や川に流されるなど、毎年事故の話を聞きます。
入渓後に行方不明になった事件を、昨年は遠山で、今年は石徹白で聞きました。
随分以前ですが、双六川ですぐ上流の釣り師が滑落した事故にも遭遇しました。
意外にも、釣り暦何十年というベテランの事故が多いのです。
頭に過信という二文字がよぎります。
木化け石化けで忍者のごとくポイントへ忍び寄ります。
表層部を狙うことが多いテンカラでは、身を低くしたり隠したりするのが基本です。
不安定な岩や浮き石にも注意して、安全な遡行をしなければなりません。
初心者は経験者と同行し、遡行技術も学ぶとよいでしょう。
初めてアマゴを釣ったイツキ君、この前に良型イワナを掛けました。
残念ながらバレてしまいましたが、ブッシュを避けて上手くキャストしていました。
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さて、飛騨釣行より数日後、仕事に空き日ができました。
どこへ釣りに行こうかいつもなら逡巡するのですが、迷うことなく郡上の川を選択しました。
20代のころよく通った川で、初心へ帰ろうと思ったからでしょう。
魚影が薄くなり足が遠のいていましたが、久々に見る流れは昔日の面影を残していました。
魚影が減ったし岩の配置も変化しましたが、雰囲気は昔のままでした。
上の写真のあるポイントで釣れたイワナ、さてどこから出たでしょう?
竿抜けには良型のアマゴが潜んでいました。
21歳でテンカラに出合って29年目です。
渓流で命を落とすことなく、ここまできました。
根が臆病なので無茶をしないことが幸いし、大きな怪我をせずに済んだのかもしれません。
これからも丹念に慎重に正確に、時々初心を思い出してテンカラを楽しみたいと思います。
つまらないヤツだと思われるかもしれませんね。
クラシックレベルラインテンカラ・2016年6月の釣行より、という動画をつくりました。
お暇なときにご覧ください。