好きこそものの上手なれ
2016.4.27・記
今回はある少年のお話です。
その少年はイツキ君という小学校5年生の男の子です。
今、テンカラに夢中になっています。
最初、虫クンがテンカラでカワムツ釣りするところを見て、カッコイイ!と思ったそうです。
それまではテンカラという言葉も知らなかったことでしょう。
お父さんは霊長類の研究者、お母さんも自然インストラクター。
彼の親戚には、フライをするフィッシングライターがいるそうです。
釣りや自然に興味を持つ環境はあったのかもしれません。
ですが、なにゆえテンカラに魅力を感じてしまったのか?
ルアーやフライのほうが少年の心をとらえる気がします。
でも、イツキ君はテンカラにハマってしまった、不思議です。
実釣レベルラインテンカラのDVDを繰り返し見て、超明快!レベルラインテンカラを熟読しています。
さらにテンカラ大王からプレゼントされた白いキャップを毎日被っています。
そうか!テンカラは前傾姿勢15度、左手は腰!と理解してしまったので、外見は小さなテンカラ大王です。
さて、いくらテンカラが好きでも、小学生が渓流釣りを趣味とするにはいろいろ大変だとわかりました。
ご両親が立派な方で、何でもかんでも買い与えることはしません。
イツキ君はお小遣いをためてフックを買ったりラインを買ったりします。
その姿勢がいじらしいし、かわいいのです。
つい余計なお世話ながら、タイイングセット一式をプレゼントしました。
当然渓流に一人で行くには足がなく、近所でカワムツ釣りをするのが精一杯でしょう。
それに、いろいろ習いごともありますから、小学生は意外と忙しいのです。
小遣いと時間をやりくりし、車で連れて行ってくれる人とタイミングを合わせなければなりません。
そして4月の某日、ようやくアマゴンスキー、虫クン夫婦とイツキ君が釣行できる日が合いました。
C&R区間や管釣りが妥当と思いましたが、理解力の高い子なので一般渓流でも大丈夫と判断しました。
釣れないからといってゴネるような子ではないのです。
どこに魚が居るか、流れをどう読むか、先行者の後をどうするか、彼は脳内シュミレーションしています。
そこに魚がいるから釣ってみな、ではなくて、自分で考えて探して釣るを一緒に楽しむことにしました。
そこで、釣り人の激戦区の郡上漁協管内へ行きました。
3.3m竿、竿たけ一杯の3.5号道糸、矢引きのハリス、自分で巻いた毛バリという道具立て。
仕掛けづくりは完璧で、そのあたりはもう教えることがありません。
ラインだけはテンカラ大王のストレートラインをと思いましたが、やはり彼が小遣いで買ったものを使うことに。
普通のフロロカーボンなので、巻きグセの取り方を教えました。
ヨリを取る習慣にすれば、普通のフロロカーボンラインで大丈夫。
ちなみに、テンカラ大王のストレートラインはとても使いやすいですよ。
初心者でも気持ちよく飛ばすことができます。
むしろ経験者がこのラインを使うと「なんとまぁ便利なものよ」と思うことでしょう。
巻きグセがないのでスプールから出してそのまま使えるし、快適なテンカラが楽しめると思います。
ストレートラインの試し釣り動画をつくりました、ここをクリックしてください。
さて、一緒に入渓してキャスティングを見ていると、そこはさすがにビデオや本の知識だけではうまくいきません。
キャスティングは最初に変なクセをつけてしまうと後から修正が難しくなります。
竿の振り幅、タイトループ、まっすぐ飛ばす、毛バリの着水、穂先の位置や角度、バックキャストの注意点・・・。
スポンジが水を吸うようにコツをつかんでいきます。
渓流の歩き方とアプローチも指導しました。
川に必要以上に入らない、竿は寝させて歩く、水面へ不用意に竿を出さない、低い姿勢でポイントに近づく、など。
まぁ、まだ背が小ちゃいので立っていても私がしゃがんだくらいですが。
こちらがアレコレ言うのに、嫌がりもせずおもしろがって覚えようとします。
ほんと、素直でかわいいです。
途中、郡上の市橋先生が診療を終えてから合流してくれました。
市橋先生からもポイントを教えてもらいます。
今日は水が高い、ここでこの前はアマゴが出た、など毎日釣りをしている方のアドバイスですから説得力があります。
そして、見事に7寸強の居付きイワナを釣りました。
イツキが居付きを釣った、ただこれが言いたいだけで、ホントに居付きかどうか???
それにしても、好きなことはすぐ覚えるもんだなと感心します。
もちろん大人と同じようにはまだできませんし、川を渉るのも一苦労です。
こちらが腿までのところで、彼は胸まで水が来てしまいます。
しかし、彼には体験を経験に変えていくセンスがあるように思いました。
テンカラ少年イツキの居付きイワナ釣り
動画をつくりましたので、ぜひご覧ください。