2002年納竿会

  2002年度のシーズンもあと少し と押し迫った9月15日、G県の某所においてテンカラ仲間の納竿会を催した。参加メンバーは、釣友カンチャンが主宰するホームページに設けられたBBS (掲示板)に、いつも書き込みをする仲間たちばかりである。このBBSは一般には非公開であり、限られたメンバーしか参加できない。まさにテンカラ仲間の 聖域のような連絡場所となっているのである。時々このBBSのオフ会を開催しているのだが、この会の正式名称はバカバカシー会という。BBSの頭文字をも じったわけで、命名したのは石垣教授である。
 今回のバカバカシー会は一応納竿会という名目だが、禁漁までには少し間があるので、この日で本当に竿納め する人はいない(だろう?)。いわゆる中締めみたいなもので、シーズン終盤に皆で集まってワイワイやろうといった趣向だ。参加者は、テンカラ大王の石垣尚 男教授、大王のアッシー君こと田島さん、サウスポーの大野さん、関東方面レベルライン布教係のマツ、ロッククライマーのゴキータ、紅一点の香魚ヒヨコさ ん、バカバカシー会幹事長のカンチャン、幹事代行の私めアマゴンスキーの総勢8名。このメンバーは普段からちょくちょく同行する人ばかりなのだが、8名同 時に集まる機会はそう多くはない。静かなることを学べとアイザック・ウォルトンは言っているが、このメンツだとワイワイ騒がしいことこの上ないのである。

一番後ろの列にいるのが自分。ホントはこの時写真を撮っているのですが。なぜ写ってるんでしょう?
中列左から、ゴキータ、マツ、田島さん、大野さん、カンチャン。
前列は何か食べてるテンカラ大王とヒヨコさん。。
ヒヨコさん、目が瞑っててすいません。お詫びに下の写真で勘弁してくだされ。

なんと、ヒヨコさんは体重がテンカラ大王の半分以下!

 まず早朝に魚券を買うべく、テンカラ大王行きつけの店へ。といっても飲み屋ではなく、昔風のコンビ ニ、いわゆる万屋である。釣り具も食料も日曜雑貨も売っている。一通り何でもあるが、欲しいものは魚券以外に何もない。魚券とてここで買わなければならぬ ワケではないが、ここでなくてはならない理由があった。というか、テンカラ大王のみにその理由があったかも。なぜならテンカラ大王の目当てはここの女将さ んだったから。この場合、ジョショウなどと読んではいけない。オカミサンと読んでいただきたい。店に入ると、いましたよ女将さん! ははぁんなるほど、 25年も前なら看板娘であっただろう。今は50代にならねば分からぬ妖艶な魅力がある(らしい)。で、「女将さんの魅力のトリコになった人は、日釣り券で はなく年券を買ってください」とテンカラ大王から言われていたにもかかわらず、結局、皆が日釣り券であった。嘘も方便という言葉を知らぬ人たちばかりだ が、これほど正直者ばかりであったことに感心したりするのである。もっとも年券を買ったとしたら、そういう趣味なのね、と思われかねない。ちなみにこの漁 協の年券は購入日から一年なので、禁漁が迫ろうが来年も使えるのである。
 この日釣行した川は、G県でも、いや日本でも屈指の自然景観の素晴らしさを誇る。流域に民家はなく、営林 関係の人が入るくらいだ。しかし川は渇水で、厳しい条件での釣りとなりそう。まず2組に別れて谷を降りて釣り開始。水は浅いが透明度が高く、瀬で小振りな アマゴがすぐに掛かった。朱点がうっすらと少し見えるだけで、最初はヤマメかと思ってしまった。本来はヤマメ域の川なので、ヤマメが出ても不思議はない。 そして上流のトロ場でマツがウグイを掛けた。せっかく関東から来たのにウグイじゃかわいそうだね。その後カンチャンがイワナを釣る。そしてもう少し上の水 深がある淵で、ついに大野さんに大物が。竿が一杯にしなって下流に走られている。尺くらいはありそうだ。残念ながらバレてしまったが、おそらくアマゴだっ たろう。この一発で期待は膨らむばかりだったが、大型はそれっきり。あとは20センチに満たないアマゴが釣れる程度だった。下流に入った組みも芳しくな かったようで、ここで昼食休憩となった。
 ゴキータが料理長となって、ケイチャンを炒める。ケイチャンとはトンチャンの鶏肉版のことで、G県の山間 部では有名な郷土料理だ。おつまみもできたところで、幹事のカンチャンより挨拶。マツが音頭をとってビールで乾杯。テンカラ大王が持参した奥様の手料理が またウマイ。ゴーヤ炒めと茄子の胡麻ダレ和えが絶品であった。

 これがゴキータの中華鍋さばき。料理の腕は抜群。で、テンカラの腕は?
 
 酔いもまわって腹も膨れ、いよいよ午後の部。ここでテンカラ大王の講習会タイム。「模範演技をお願いしま す」とカンチャンがいうと、大王が白鳥の湖の舞いを披露。あの、スンマセン大王様、そっちの演技じゃなくって。ええっと、マジに戻ったテンカラ大王の実演 に、皆なるほどと感心しきりである。誘いのかけ方、流れの読み、魚の着き場など分かりやすく解説していただいた。
 ここからまた上流組と下流組に別れて釣りをすることに。マツと田島さんと自分の3人は下流へ。少し釣り 下ったところで先行していた田島さんが呼んでいる。何かと思ったら、ニホンカモシカがいるではないか。逃げる様子もなく、ゆっくりとこちらへ向かってく る。天然記念物だからだろうか、余裕の行動だ。自然が豊富な場所なんだなぁ。小振りだがイワナとアマゴもぼちぼち釣れる。はぁ、いい場所だ。
 

  
カモシカ君とイワナ君。ビデオからのキャプチャーなんで画質が悪いっす。
イワナ、小さいけど綺麗だなぁ。一時、これくらいのサイズがよく出た。
敬老の日に出会ったゆえに、このカモシカは高齢なのかと思ったがどうやらまだ子供のようですね。

 この後、テンカラ大王の案内でとっておきの場所へ移動。そこへはボクは以前行ったことがあるが、今 回初めての人も多く、どんな顔をするかと楽しみだった。急な斜面を降りて岩盤に降り立つと、皆あっけにとられた表情をしている。そこはとてつもなく大きな 淵が三段に連なり、巨大な岩盤と流れ込む滝の美しさに目を見張っているのだ。原始のままの姿がそこにはあった。釣りどころか記念写真が先とばかり、皆 シャッターを押している。ここでは魚は掛からなかったが、その風景を見ただけでも満足であった。
 あと残るは、いよいよ夕マズメだけだ。もう一度下流に下って朝のポイントへ。川へ降りたころがちょうどベ ストタイムだったろうか。ヒヨコさんの毛バリにも魚が出てくる。「あれ、今ググッときたけど?」と興奮した様子。そのポイントでヒヨコさんは粘るようだ。 上流へ向かうとマツが朝のウグイポイントを攻めていた。「出たよ、アマゴの25センチ。イワナも釣れた」と言っている。いやぁ、関東から来た甲斐があった ねぇ、マツ。今日の竿頭はマツですわ。どれどれ、自分もちょっくら振らせてもらうべ。お、すぐにイワナがきた。ほれ、もういっちょ。時合とは凄いもんだ すぅ。またマツと交代して、ボクはすぐ下流へ。しかしここは緩い流れしかないウグイポイント。ウグイがバンバン掛かる。う〜ン、臭い! 毛バリを外す時間 も惜しいのに、どうしてお前ら食ってくる、ってそこに毛バリを入れる自分がイカンのだが。すると大野さんが戻ってきて、「いやぁ〜、小さくなってました わ。大きいのは出なかった」だそうな。その後は瀬を流しながらアマゴをポツポツ掛ける。型は小さいが綺麗な魚体をしている。きっと天然が多いのだろう なぁ。僅かな時間だったが、夕マズメにこの川の魚影の濃さを思い知った。集合場所に戻るともうひと組も帰っていて、ボチボチ釣れたようだった。
 もう次のバカバカシー会が楽しみだ。2003年春、今度はどこでやりましょうかね、カンチャン。

 

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