テンカラーズ&木村一成写真事務所公式サイト アマゴンスキー on the web テンカラ雑記2007年版 その2

尺 モノに会いたい」

41歳の夏だからぁ〜、というわけで今夏は41センチの大物を釣りたいなぁ〜、と思っております。
なぁ〜んて、思うのは勝手ですが、実際は尺モノ(尺物が正しい表記かな?)だってなかなか釣れません。
多くのテンカラ師にとって、 尺モノを釣ることは大きな目標といえます。
苦節ウン年にして初の尺モノ!なんて話を聞くと、それこそ仲間内で拍手喝采。
このようにあまり釣れないからこそ価値を感じるのでしょう。
もっとも尺モノに価値があるというのは、人が決めたまさに尺度でしかありません。
そういう意味では、あまり尺モノなんて言葉にとらわれずに楽しんだほうがいいかもしれませんね。

とはいえ、尺に僅かに達しない魚が釣れると嬉しい反面、尺足らず、泣き尺といって悔しがることも事実。
そこで今回は敢えて、仲間たちの実例も交えながら尺モノ釣りの検証をしてみましょう。
って、検証したところでそうそう釣れるわけ、ないですよねぇ。


◆◆◆◆◆

今年の6月、市橋先生、虫クン、アマゴンの3人それぞれが尺上を手にできた夢のよう な一日がありました。
マグレか偶然、それとも山の神々の采配か、気まぐれか。


まず虫クンが尺上アマゴをヒット。
先行していたフライマンを追い抜かせてもらった直後、いいポイントにめぐり合って釣れたそうな。
こういった運を逃さないことも、尺モノに出会う秘訣でしょう。


その後、市橋先生が尺上イワナを掛けました。
竿抜けになった対岸の巻き返しを狙ったそうです。
巻き返しを狙う場合、毛バリの留まる時間が長くなるよう操作します。
できれば魚が毛バリに気付くまで、ずぅ〜っと巻き返しで回しておきたいのです。
こんなときこそ、軽いレベルラインが本領発揮します。
重いラインですと手前の流れに取られて、すぐに毛バリが吐き出されてしまうことが多くなりますので。


当日の取りはコイツ、本流夕マズメの一発!
餌釣り師の多いポイントゆえ、この型が残っていただけでも幸運でした。
この日この時間この場所にいたなら、誰でも釣れたかもですが。
いい通し波ができて水深もある、いかにも大物が潜みそうなポイントでしたからねぇ。
その流芯際に毛バリを沈めていったら水中でグラッと反転。
イチ、ニとカウントしてから合わせると、ギューンっと力強い手応えが来ました。
この場合に限らず、早合わせは禁物です。


この写真のテンカラ師は京都のテンカラ教徒、西郷アジャリ君です。
毎週中部の河川にやってきます。シーズン中、毎週!・・・・です。
ボクより10年若いので、タイムマシーンに乗って10年前の自分を見てるみたい。
若くて腕はいいし情熱はあるし性格もいいし、うらやましいですねぇ。
さらに五尺オナゴを釣る腕もなかなか・・・。
おっと、魚を釣る話でした。
実は先日も餌釣り師に挟まれた厳しい状況のなか、彼は尺上イワナを上げました。
ポイントを見る眼と状況判断力、そして確かな技術があればこそです。


ところで、こちらはテンカラグルメ倶楽部の夏集会です。
奥三河にある太田さん手造りの別荘で鮎料理をご馳走になりました。
左からタジマッチ、家主太田さん、小出タカさん、石原魚屋のおっちゃん、テンカラ彫り師春日大明神、虫クン、黒鯛名人原さん、三州縄文人荒川 さん、サウスポー大野。
ん?大澤親分が写っていないぞ???

 あ、親分いたいた。
え〜、なんでまたテンカラグルメ倶楽部の話題なのかといえば、こういった場所で大先輩の方々からお話を聞くことが勉強になるわけです。
凄腕の面々の話は実に面白い。
もっとも話の9割は猥談です。
が、残りの1割に釣り奥義が隠されています。
ところがまぁ、今回は鮎釣りの話がほとんどでした。


さてさて、これは昨夏の釣行の折に撮ったものです。
サウスポー大野が、魂の抜けたような顔してます。
数はよく釣れる日でしたが、型に満足できずに遡行しておりました。
しかし、ついにここぞというポイントでサウスポー大野が尺ちょうどのイワナを掛けました。
ちなみに、彼は一箇所で粘る釣りをよくします。
一般的に、テンカラではテンポよく食い気のある魚だけを相手にするほうが効率的といわれます。
ただし、勘というか、出そうだなとひらめいた場所では粘ると好結果が出ることもあります。
勘とかひらめきというと曖昧なものと思われるでしょうが、経験によって磨かれることも確かなのです。
それから観察力でしょうね。
今話題沸騰の眼力トレーニングが、尺モノを手にするためには必要かもです。


これも昨年の夏に釣行した折のイワナ。
テンカラ大王、タジマッチ、ヤマモトクンの3人が、前日に尺イワナ混じりで数釣りをした川へ入りました。
ところが情報とは裏腹に、とにかく出ない、出ても小さいと苦戦するなか、2時間ほど釣りあがりました。
すると突然ある地点より上流から、型が出始めました。
この尺イワナもまさにそのなかの1本。
後で判ったのですが、大王たちが引き返したポイントより上から出がよくなった由。
いじめられた翌日は、さすがに厳しいですね。


上のイワナと同日、東京からはるばるやってきた眼科医の富田先生にも尺上が!
記念すべき初の尺モノだそうで、実に嬉しそう。
尾ビレの大きな美しいイワナでした。


そして翌々週、やはり同じ川の上流に5時間遡行して虫クンが黄金色の大イワナを!
同行したカバニィに記念写真を撮ってもらったのですが、微妙に顔が引きつっています。
こんなとこにこんなサイズが?と思うほど浅いポイントだったようです。
時に大物は、釣り人が予想もしない場所で捕食していたりもするのです。

ところで、早起きは三文の得、ということわざがありますが、テンカラでは尺モノの得なんです。
先日、バカに暑い日にテンカラ大王とサウスポー大野と3人で奥飛騨方面へ釣行いたしました。
この釣行の詳細はテンカラ大王のHPをご覧いただくと して、早起きするといいことがあるというお話をひとつ。

民宿「多代次」に泊まった3人、翌日の朝食は7時半と決め、その前に目の前の川をやろういうことで就寝。
あたりが明るくなった6時に眼が覚めたボクは、しまった寝過ごした!と思いガバッと起き上がる。
こりゃ、テンカラ大王もサウスポー大野も釣りに出かけた後か?と思いきや、となりで二人はスヤスヤ寝ているではないか。
ううむ、よく寝ている。
昨日の疲れがまだ残っているのであろう。
ここで起こしてはかわいそう。
このまま起こさず一人で行こうか?
いや、抜け駆けの功名は手柄にならぬ。
「もしも〜し、大王さまぁ〜、朝ですよ〜、行きますかぁ〜?」
「うう〜ん、寝てます」
バタッ!
「あのぉ、大野さん、釣りいくぅ?」
「いや、寝てますわ、どうぞどうぞ」
バタッ!
ううむ、いいのかこれで?
フントにいいんですかねぇ、一人で行きますよぉ・・・。
トコトコ徒歩二分で川へ。
全国に名だたる川なのに、だぁ〜れもいない。
ううむ、いいのかこれで?
第一投からチビヤマメがピチャッと掛かる。
あれまぁ、小さいねぇ〜と次々掛かるがチビばっか。
あちこちでライズがあるけど、チビのライズばかり。
と、ある大場所の流芯際で、小さなライズを発見。
ライズが小さくとも、チビヤマメのライズとは別物と勘で分かる。
じっと見つめていると、今度は魚体が見えた。
よっしゃ、いい型だっ!
で、掛けたヤツはってぇと、

尺ちょうどのヤマメ。
体高があるともっとカッコいいけど、十分に嬉しい!!

その日の午後、白山が見える川に移動しました。

白山の主峰群(御前峰と剣ヶ峰)がよく見えました。
奥飛騨とはまた違って、水が驚くほど冷たいのです。
渓流釣りにおいて川がいいということは、山がいいということでもあります。


そしてテンカラ大王の尺イワナ釣りのビデオ撮影に成功。
体も手も大きいから損してますが、手にしているのは尺イワナです。
スレきった場所で見事に掛けました。
さすがテンカラ大王!
このシーン、一部始終がビデオにバッチリ映っています。
尺イワナ釣りのアプローチ、キャスティング、ランディングがノーカットで丸分かり!
いつか皆さんにお見せできる機会があればなぁ〜、と。

   

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