木村一成写真事務所公式サイト アマゴンスキー on the web テンカラ雑記2005年版 No.11

「テンカラにハマる人


テンカラしかできない自分が言うのも変ですが、どうしてこの釣りにハマる人がいるので しょう?
名人達人ならいざ知らず、好条件に当たらなければ、誰もがよく釣れる釣りとはとても言えないのですが。
テンカラ以外の釣りと平行して楽しまれる方も多いなか、釣りといえばテンカラ以外にはやらないという人も結構います。
テンカラで爆釣する時期や日並などは、シーズン中いく日もありません。
それなのに水温の上がらない季節だろうが、濁流や渇水だろうが、カンカン照りの真夏の日中だろうが、とにかくテンカラオンリー。
その道一筋と言えば聞こえがいいけれど、辛抱強いというか我慢強いというか、年中テンカラのことしか頭にないという人が少なからずいるのです。
う〜ん、釣り界の七不思議のひとつかもしれません。(あとの六つは何だ?)

先日、大阪からはるばる遠山にやってきたYNさんとKKさんの二人組みも、やはりテンカラしかやらない人種です。
ことにKKさんは、釣り経験がテンカラしかないというサウスポー大野みたいな人。
そういえばボクのイニシャルもKKだっけか、株式会社みたい・・・。
お二人ともボクと同世代なので、すぐに気心が知れました。
YNさんとは、夜遅くまで焼酎を酌み交わしながらテンカラ談義をしました。
ホントにテンカラが好きなんだなぁ〜、同じ血が流れている人だなぁと思いました。
二人で焼酎一本空けても、話題は尽きません。
そして翌朝、寝不足のYNさんとボクを尻目に、KKさんは支流で29センチを釣ってしまうのです。
いわゆる泣き尺だけど、もちろん本人は泣くどころか大喜びです。
KKさんは実力で釣ったのですが、睡眠不足はいかんなぁとYNさん共々悟りました。
今度からは早よ寝よっと。


大阪からはるばる来た甲斐があったぁ、のKKさん。
ロンゲのビジュアル系テンカラ師です。
アマゴのアップはアマゴ図鑑21をご覧ください。

遠山では、久しぶりにテンカラの鬼師匠こと榊原正巳さんの釣りを見学させてもらいまし た。
とあるメーカーのハリのテストが目的の釣りでしたから、いつも以上に気迫に満ちた釣りでした。
しかし遠山アマゴはご機嫌が悪く、鬼の執拗な攻めにも乗ってきません。
小型がたまに釣れるだけという状態で、魚影の薄さもさることながら釣り人の多さに怯えきっているようです。
鬼はますます鬼の形相となっていくのですが、それでも釣りが乱暴になることは決してありません。
毛バリは 常に正確にピンポイントを突いて、本物の餌以上に餌らしく流れます。
メーカー担当者の他数人でゾロゾロとくっ付いて見学していたのですが、鬼がやって出なけりゃ出るわけないと誰も竿を出しません。
結局、見学させてもらった午前中は型が出なかったものの、鬼は夕方に27センチ、翌朝は尺を釣ったそうです。
誰もが釣れないなかで、きっちり仕事をこなすのはさすがとしかいいようがありません。
腕があれば人が多くてスレている川でも釣れる、この現実があるからテンカラ一筋に精進する人もまた存在するのでしょうね。


真剣な表情の鬼、この眼で睨まれたらアマゴもついつい毛バリを食わえてしまう。


なんとか教授の総回診よろしく、鬼の後 をゾロゾロ大名行列した面々。


鬼に釣られたアマゴが休憩中。リリース されるのを待っています。

そういえば、ムッシュ兄貴の弟子のM君にはK君という弟子がいて、ムッシュ兄貴からすれ ば孫弟子。
ムッシュ兄貴は、実際にお孫さんがいるのですケド。
鬼師匠からすればひ孫弟子ということになるわけです。
仲間が仲間を呼びテンカラは伝承されていくのですが、それでもテンカラ人口が劇的に増えているようには思えません。
とくに若い人や女性は、なかなか増えません。
テンカラはオジンくさい印象があるのかな?
テンカラ大王の愛弟子には20代前半というY君のような若人もいますが、これは奇跡に近い。
Y君、フントにテンカラでいいの?といらぬ心配までしちゃいます。
ところがルアーやフライは、若い人や女性にも支持されているようです。
「よく釣れます、簡単です」という謳い文句だけでは、なかなかテンカラに入門してくれないみたい。
この謳い文句すら今ではあやしいもので、「釣れません、難し過ぎます」というのが実際でしょう。
「釣れない釣りは釣りではない」というのがボクの持論であり心情ですが、やっぱファッショナブルでカッコもよくないとイカンみたい。


ムッシュ一派がアウトドアクッキング。
 アマゴではなくサンマを焼いていましたっけ。

今年ちょくちょく遊んでもらっている郡上の開業医、市橋先生もテンカラにハマっている方 です。
先日、石徹白へ一緒に釣行したときも、夕マズメに28センチアマゴを釣り満面の笑み。
良型が一向に出ないなか、イブニングライズを見事に狙った値千金の一本でした。
一日一匹でも納得の出会いがあれば大満足なのがテンカラ。
これがあるからテンカラにハマる人がいるんでしょうね。

 
市橋先生の自製竹竿がしなる!
この一本で今日は幸せ、笑顔がこぼれマス。
このアマゴもアマゴ図鑑21に載せてありますのでご覧ください。

   

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