木村一成写真事務所公式サイト アマゴンスキー on the web 2003年版 No.10

 今年2003年の梅雨は長かった。ほとんど雨が降らない日はなかったのではないだろうか。7月後半になっても気温が上がらず、米も冷害で不作にな るらしい。このまま夏は来ないのかと思ったが、最近になっていきなり猛暑になった。夏は来てもらわないといけないのだが、勝手なものでいざやって来ると暑 くて困る。釣りといえばテンカラしかできない自分なので鮎掛けをするわけにもいかず、なんとか暑い夏をしのぐ手立てを考えねばならない。やはり標高の高い 涼しい高原でテンカラを振るしかないねぇ。
 そこでつい先日の8月6日(ちなみにワタクシメの誕生日)、アワゾー氏、K子さん、いつものサウスポー大野と連れ立って、中央アルプスから流れる標高 1600m以上の川へ行ってきた。昨年テンカラ大王並びに釣友たちと釣行した際、イワナがよく釣れた思い出深い川である。この標高だとアマゴはもういない ようで、まさにイワナの楽園だ。涼しい高原でウブなイワナたちと戯れる「ウ〜ンいいねぇ〜、夏はこうでなくっちゃ」という計画である。
 その前日はアワゾー氏の父君所有の別荘に泊めていただいた。その別荘も長野県南部の高原にあって、とても涼しい場所だ。お昼はテラスでバーベキューをご 馳走になっちゃた。個人的なことだけど、最近は体質的に動物性タンパク質を控えなければならない身なのだが、すこ〜し食べてしまいました。ウン、久々に食 す肉はウマイぢょ!! なにより嬉しいのは、別荘の近くにいいアマゴが釣れる川があるということだ。小さな里川なのだが、そこはアワゾー氏が尺上アマゴを バラシたという川で、そのアマゴはネットにも入り切らない大きさだったとか・・・、なかったとか。これはヤルっきゃない、夕方に一振りしてみようと思った が、どっこい夕立ちの土砂降りで川はカフェオレ色に。ああ、残念。夜はテンカラ談義に花が咲いて、就寝は午前様になってしまった。

   
別荘ではアワゾー氏がバーベキュー担当、そして禁断の肉!!

 そして広島の原爆記念日であり私の誕生日である8月6日の朝、ちょいと寝坊した気がしないでもないけど、なんとか起きていざ目指すは標高1600m。 と、その前に、別荘近くのアワゾー氏オススメ尺アマゴポイントだけはつっ突いておかないと。川を見ると昨日の濁りはウソのように澄んでいて、ベストといえ るコンディションに回復していた。皆様を代表して不肖ワタクシメが毛バリを振らせてもらった。すると、オオッ出てきた!!幅広の大きなヤツがゆらりと毛バ リを追ったではないか。この時は食わえなかったが、経験上この出方は掛かるはず。2〜3投したころだろうか、糸フケが出たと思ったらグンッとラインが張っ た。しかしフッキングが甘い。背後のブッシュに気を使いすぎてしっかりアワセていない。この場所だと取り込みすら難しい。勝負をかけるため少し下流に下 がったときだ、ウ〜ン残念、ここで外れた。はたしてアワゾー氏がバラした個体と同一であったかどうか??

 さぁ〜て、バラシたアマゴは戻ってはこない。気を取り直して1600メートルの標高まで気張って登るぞ〜、って、全部徒歩で行くわけではない。途 中までは車で行ける。しかしその峠道はなかなか頑固なもので、一気に1000メートル近くも標高を稼ぐのだ。なにせその峠道は普通に走って40分、30分 で着こうとしたら崖から落ちる、もし20分で着いたら車が空を飛んだということだそうな。某コンビニの店長がそう言っていたから間違いない(か?) 
 下車してから川まではテクテクと山道を歩くが、その間かなり崖崩れが目立つ。今にも崩壊してきそうな岩壁がいくつもあって、その下を通過するときはヒヤ ヒヤものだ。これも今年の雨量が多いせいだろうか。
 

崩れた岩がドドーンっと山道をふさぐ。大野さ〜ん、笑ってる場合ちゃうよ〜。


 いくつもの難所を乗り越えて20分も歩くと目的の川が見えてくる。しかし、ここであせって竿を出しては時間をロスするだけだ。昨年の経験からよく釣れる ポイントはもっと上流だ。釣り師なら川を見たら竿を出したくなのが人情で、下流部は釣り荒れしているはず。さらに20分は歩いてからでないと魚影は濃くな らない、はず。そう思って上流を目指すのだが、昨年の川と様子が違う。相当な水が出たのか、かなり荒れている。渓相が大きく変わってしまった場所も見受け られた。ちょいと心配になってくる。ひょっとして、イワナ君たち全滅してないだろうねぇ???
 


ここ、ご隠居ことテンカラ大王の休憩場所だったんだがなぁ。
道の護岸ごと吹っ飛ばされてます。

  で、そろそろイワナが出そうだというポイントで、人間魚群探知機大野1号に試し釣りをしてもらう。あ、ダメ?居ませんかぁ、そうですか。そ こから少し上流で、さすがに人間魚群探知機は一匹のイワナを釣り上げた。よっしゃ、ここから上流なら居りまっせ、釣れまっせ。
 しかし、あきらかに魚影が少なくなっていて、昨年ほどよく釣れるという印象はない。ま、魚影も少なくなったけど釣り人も少ない。我々が入渓する時、一人 の餌釣り師がちょうど退渓してきたのを見たのみ。あとは我々以外に誰もいない貸し切り状態だ。釣れなきゃ来ないという釣り人の心理は明解なもんだなぁ。そ ういや大野さんも「ここまで苦労して来て、この釣果では勘定が合わん」と言っていたなぁ。彼は金融関係筋の会社に勤めてるから、勘定が合わないと大問題な んだろうねぇ。こっちは涼しい高原でのんびり毛バリが振れるだけでも幸せと思っちゃうけど。
 魚の量は減ったけど、上流部に向うほどイワナはウブになってくる。K子さんが巻いた「ゲジゲジ黒毛虫毛バリ」を貰って釣ったのだが、どういう訳かこの毛 バリにはよく出る。毛バリは何でもいいはずだが、この毛バリだとさらに釣れる気がするから不思議。♯6〜♯9のフックから豪快に黒い毛が生えていて、まっ たく男らしい(?)凄みを持った毛バリである。残念ながらハリス切れしたけど、この毛バリには特大のイワナも食ってきた。毛バリ作者のK子さんも好釣で、 綺麗なイワナをポコポコ掛けている。しかも凄い大胆な格好で岩に乗っかって釣っていた。この写真は残念ながら非公開ですぅ。やっぱ、テンカラはおしとやか にしていては釣れんのか??
 
 
上達著しいK子さんは調子よく釣っていましたね〜。
しかし、ここのイワナはオスばっかりか? 女性と見るや愛想よく出てくる。
そしてK子さん特製のゲジゲジ黒毛虫毛バリを食わえたイワナちゃんのアップ。

  ああ、昨年の夏からもう一年が経ったんだよなぁ。今年の夏も気がつけばアッという間に過ぎてしまうだろう。来年の誕生日、もう一度この川に 来ようかな・・・。

 

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