テンカラーズ&木村一成写真事務所公式サイト アマゴンスキー on the web テンカラ雑記2015年版 その1

いろいろあったよ、2015 石徹白フィッシャーズホリデー

2015年、6月6日、7日と、「第15回 石徹白 Fisher's Holiday!」が開催されました。
イベント前日から降っていた雨も開会式前にはあがり、つくづく自分は晴れ男だなぁ〜と思いました。
お天気は私のせいでもなんでもないのですが・・。

超ノンビリした更新頻度の我がホームページ、ようやく1年ぶりに更新する気になりました。
更新するネタが少ないというのは言い訳で、歳くったからか更新するのが面倒になったようです。

やっと更新する気になったのは、やはり石徹白フィッシャーズホリデーでいろんなことを見聞きし刺激を受けたからでしょう。
そして、心の底からひとつふたつ思ったことがあります。
自分への戒めの意味もあってここに書いておきます。
「釣りは、たかが釣り、テンカラも、たかがテンカラ、もっと大事なことが世の中にはある」

あ、中川名人の戒めを思い出した。
「釣れたときは黙ってろ、人にいやな思いをさせるだけ」
あ、恩田名人の戒めを思い出した。
「人の釣りを悪く言ってはいけない」


峠川C&Rに美しい日差しが射し込み、木々も川面もきらめきます。
渓流に来た喜びを実感しました。


ゲストは、石垣尚男、榊原正巳、岡田裕師、安田龍司、吉田和展の各氏。
末席のアマゴンスキー木村一成は、吉田さんの貫禄に完全に圧倒されとります。


安田龍司氏指導のもと、人工産卵場を40数名で造成しました。
沢の清掃をしたり、ツルハシ、スコップで川底を深くしたり、砂利を運搬したり結構な肉体労働です。
イワナのためなぁ〜らエ〜ンヤコラ、アマゴのためならエンヤコラセィッと、ヨイトマケの歌をうたいながら乗り切ります。


人海戦術でもって見事な産卵場ができました。
安田さんが、流速や水温、酸素量などを測定し、適正な産卵場になったか調べています。
なるほど〜、見た目だけではダメなんですね。
数十名が汗を流して造成した産卵場、きっとここから多くの魚が生まれることでしょう。
多くの人の夢と希望がこの小さな沢に詰まっています。
「生きた川には夢がある」恩田さんの言葉ですが、まさに夢のある川なんです。



さて、私担当のカメラ撮影スクールには、初日8名、二日目7名の方が参加してくれました。(飛び入り参加もありました)
魚体の扱い方や、おとなしくさせる方法、カメラの設定の仕方などをレクチャーしたあと実習です。
今年はモデルさん(あ、魚のことですよ)を実行委員会で用意していただきました。
厳しいモデル選考会があったと聞きますが、松山さんが本流(C&R区間ではありません)で審査した美形数匹が抜擢されました。
誰をセンターにするか総選挙も考えましたが、一番人気はアマ子ちゃんで衆目一致するところでした。


石徹白本流から峠川に出張してもらったトップモデルです。
撮影スクール後は、元の本流へお帰りいただきました。


上の写真と同じモデルですが、撮り方を変えるとこう写ります。


まずは、モデルを落ち着かせる方法を実際にやってみます。
人間のモデルと同じですね、ご機嫌をとらないといけません。


モデルがいいポーズしてますよ!!
こっちむいてぇ、目線くださ〜い、とバシャバシャ撮りまくります。
撮影用のプールのコンディションが良ければ、意外と長くじっとしています。
慌てて雑に撮影するより、水の流れるプールを作ってじっくり撮ったほうが魚にやさしいです。


こちらは二日目のスクールの様子。
モデルたちは二日間ともいい仕事をしてくれました。
終了後は石徹白本流の元の流れに帰しました。
モデルのみなさん、お疲れさま。

この撮影スクールに毎回参加してくれる常連の方もみえます。
毎度同じ話をしてますので聞き飽きないか心配ですが、いつもホホォ〜と感心しながら聞いてくれます。
大人の対応をありがとうございます。

ちなみに石徹白C&R区間は今年から10匹までの匹数制限が設けられました。
正直にいえば、10匹は少ないなという印象を持っていました。
条件がよければ私の腕でもすぐに達する数です。

しかし、
「もともと漁業規則上では禁漁区であり、C&R厳守という条件で少し釣るだけなら釣りをしてもいいよ」
という説明を実行委員の方から受けました。

「数釣れないなら来ないという人もいるでしょう。その方は腕がいいので峠川を卒業されたということではないでしょうか」

納得しました。

今の私は、匹数制限に釣り人を増やすことにつながる可能性を感じています。
ちなみにC&Rの魚たちは、リリースされても何度かハリがかりします。
実際、リリース後数十分で同じ個体がかかることが、マーカーを付けた実験で分かっています。
魚体も痛みますし当然スレます。
ハリがかりを減らせば、綺麗な魚体を保ちやすくなります。
ウブで釣りやすい状況にもなり、初心者にもやさしい川になります。
まったく禁漁なら誰も来ませんが、天然の美しい魚に比較的簡単に会えるなら、多くの人が来るように思えます。
誰もが楽しい川になれば漁協収入も増えて、よりC&Rの環境整備もできると思います。
今まで以上に多くの人が笑顔でいられる川になるかもしれません。

10匹という制限が多いのか少ないのか、私には分かりません。
腕のいい人にとって10匹は少ない数でしょう。
でも10匹釣れば大満足の人もたくさんいると思います。
実際、10匹は「ツ抜け」といって、よく釣れたという意味です。
「足るを知る」という考え方、これもひとつの進化だと私は思います。

ということで美形の魚の写真でも撮りながらノンビリ釣れば、少ない匹数でも有意義に休日を過ごせるのではと思います。
いずれにせよ、ダメージを与えず撮影する方法を知っておいたほうがいいと感じます。


スクールが終わって、私にも自由時間ができましたのでマツと釣りあがります。
マツとの釣りも久しぶりです。
一本の竿で一匹釣れたら交代、みたいな釣り方をしました。
釣らないときは相手の釣りを撮影します。
匹数制限があるお蔭で焦らないから、これはなかなか楽しい釣りでした。

 
いったい今日は何人の釣り人が通過したことか。
竿抜けを探すのもおもしろいですね。


アマゴとやり取りしているマツ。
マツが釣っているときは私が撮影。
ちなみにカメラはマツの一眼、竿は私のもの。


このポイントはまだ釣れそう・・。
でも匹数を考えると、ここばかりではもったいない。


おお、いい引きをするではないですか。


夜は毎年恒例のバーベキュー。
星空を見ながらテンカラの話をするのは楽しいものですね。
といいながら、会場の照明で星は見えません。
マツは一人で会場を離れ、星景写真の撮影に。
最近ハマッてるんだそうです。
あとでこの写真を見せられて、こんなに星が出てたのかぁ〜、と驚きました。


いろいろあったけど、楽しいイベントでした。
閉会式、斉藤彰一さんが号泣。
やられた、こっちまでもらい泣き。
昨年はあちらの川で釣りをした斉藤さん、向こう岸に渡らずよく帰ってきてくれました。

斉藤さんとお話したとき、残りの人生は石徹白てんからを伝えていくとおっしゃっていました。
あるレベルラインテンカラ師が、「今さら馬素もなぁ」と言ったそうです。
「馬素の撚り方も知らずに日本の伝統の釣りをやっているとは言えないのでは」
と、斉藤さん。
このやりとりを聞いてウウムと唸ってしまいました。
とっさに「石徹白てんから入門します!」っていうと、
「そんなこと言うもんじゃないの、レベルラインを楽しみながらたまにやったらいい」
と、たしなめられました。


その斉藤さん手製のフライロッドをジャンケン大会で射止めたA塚さん。
A塚さんは、私の写真の教え子のお父さんなんです。
毎年、このイベントで会えることが楽しみです。


閉会式終了後、マツ、ヤマモトくんと石徹白本流へ。
スズヤンにいいポイントがあると聞いていたのですが、ハテ、どこのことだったかしら??
よく分からず適当に入渓したものの、ここでよかったかと疑心暗鬼。
人にポイントを聞いて釣ろうというのですから、まぁ修行が足りません。
でも、自分で見つけた対岸の小さなポイントで美しいイワナに出会えました。
自分で見つけて自分で考える、そういう釣りって一番楽しいもんだよなぁ〜、と思い出しました。

そういえば、ヤマモト君の歳を聞いてびっくり。
え、もうそんな歳なん!?
あの少年だった彼が、おじさんに近づきつつある。
う〜ん、こっちはおじいさんに近づきつつあるってことですね。

今度更新するときはホントにオジイサンになっていたりして。



  

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